うむむと唸りましたよこの脚本 ☆5点
予告編
映画データ
あらすじ
田舎町のしがない会計コンサルタント、クリスチャン・ウルフに舞い込んだ、大企業からの財務調査依頼。
彼は重大な不正を見つけるが、なぜか依頼は一方的に打ち切られる。
その日から、何者かに命を狙われるウルフ。
実は彼は、麻薬カルテル、武器商人、殺し屋、マネー・ロンダリングの達人など、世界で最も危険な顧客を抱える“裏社会の掃除屋”でもあった。
数字に関して天才的頭脳を持ち、完璧な闇の会計術で悪人たちの裏帳簿を仕切る一方、命中率100%の狙撃の腕と暗殺術を身に着けた彼は決して彼らの餌食になることはない。
アメリカ政府も彼の存在に目をつけ、身元を洗うが、名前は偽名、本籍・私生活も不明、すべてが謎に包まれたウルフの正体を掴めない。
そして彼の周りで大量に挙がる死体の山—
大企業の不正を暴き、マフィアと違法な取引を重ね、国に追われてまで危険な仕事に手を出す、この男の真の目的とは?(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
今作は上の予告編は見てなくて、下の特報を見て面白そうと思い鑑賞。
なので全くどんな映画か想像つかなくて、『アメリカン・サイコ』とか思い浮かべたんですけど、全然違いました。
それで観る前にツイッターのTLに
父は『ザ・コンサルタント』ってタイトルから、スーパー交渉術で貧しいお客を助けつつ、ブラックな権威をぶっ潰していく話と思ってたらしく。
邦題が何なら間違わなかった?という話をした結果、父の中では『レインマン2/マッスル・ネバー・ダイ』というタイトルになりました— ヨイコワルツェネガー (@kantoQyoiko) 2017年2月2日
こういうのが流れてきて、なぜレインマン?と思ったのですけど、観終わるとなるほど上手いですなぁ!
上の方の予告を観ると、幼少期のシーンが出てくるので、カンのいい人は分かると思うんですけど、ベン・アフレック演じる主人公のクリスチャンは自閉症なんですね。
それでパズルとか一瞬で解いちゃうところを見るとサヴァン症候群の気がある。
この辺は落としたマッチの数を一瞬で数えた『レインマン』と同じで、観客に主人公は特殊能力があると理解させるのに上手い導入部だなぁと思いました。
日本だとこれ中居正広さんが演じた『ATARU』になると思うんですけど、そうした人物が主人公の映画になります。
自閉症に関しては、自閉症の方がこの映画を観ての感想を上げられていたので、こちらが参考になると思います。
#自閉症 #ザ・コンサルタント #はてなブログ
自閉症当事者が自閉症が主人公の映画「ザ・コンサルタント」を見てきた。この映画は定形発達への啓蒙、アンチヒーロー映画として見てはいけない。…https://t.co/uN1UbDxLua pic.twitter.com/PLGqecweSX— 孤毒の果て@メタルギアサヴァイブ (@kodokuhate) 2017年1月29日
窓ガラスにビッシリ書いちゃうところとかは『ガリレオ』っぽいなと思ったんですけど、ガリレオの湯川先生もそうだったんですかね。
それで、この映画が面白いのは、クリスチャンのお父さんが軍人で、普通は施設に入れるところをそんなの関係ねぇとスパルタでマッチョに鍛え上げていくんですね。軍人のため転勤も多く17年間で34回の引っ越しと主人公に友達が出来る要素も無く、そもそもがいじめの対象になりやすいので、自分の身は自分で守らねばならんと言う訳です。親もいつまでも親でいられる訳ではないので自分で生きていく術を身に付けさせるんですね。なんか格闘技を習わせてるところは、どこか海外の赴任先なのでしょう。オリエンタルな雰囲気は『ベスト・キッド』で、子供でも容赦ない感じは『悪童日記』を彷彿とさせました。
クリスチャンがお父さんと同じように軍に入ったのも、規律で縛られて、命令で動く軍は合ってるなと思いました。『フォレスト・ガンプ』のフォレストみたいに。
それで、大人になったクリスチャンは完全に『タイガーマスク』の伊達直人なんですけど、あの声のみの秘書の存在も『ツイン・ピークス』のダイアンみたいだなぁと思ってたんですけど、ラストでちゃんと明かされて上手いなぁと思いました。
戦闘シーンなんかは接近戦で流行りのC.A.Rシステムを取り入れてて『ジョン・ウィック』とどっちが強いかな?と思ったり
と、とにかく盛りだくさんなんです、この映画。
脚本を担当したビル・ドゥビューク、要チェックしときます。
弟との伏線の回収も見事ですし、ジョン・リスゴーを久々に見て「もう年齢だからいいおじいちゃんの役なんだな」と思ったら、やっぱり悪い役(『レイジング・ケイン』のイメージが強い)で、この辺のキャスティングも上手いと思いましたし、やりおるなぁと唸らざるをえません。
『デッドプール』なんかのマーベルヒーロー物の一作目にありがちな、主人公の生い立ちなんかを説明する部分でダレるような展開もなく、伏線の張り方と回収も見事ですし、かと言って話も難しくなく分かりやすいですし『ドクター・ストレンジ』(まだ未見です)もいいですけど、こちらもニューヒーロー誕生でいいですよ!
鑑賞データ
新宿ピカデリー 次回鑑賞クーポン 1200円
2017年 15作品目 累計12600円 1作品単価840円
コメント